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映画「MONOS 猿と呼ばれし者たち」は、ゲリラ組織の真実だ!

前作「Porfirio」(11/日本未公開)をカンヌ国際映画祭監督週間に出品した新鋭アレハンドロ・ランデス監督の3作目は、50年以上続いたコロンビアの内戦を背景に描いたサバイバルドラマだ。

暴力の脅威にさらされ続けたコロンビアの歴史と、外界から遮断された世界で生きる少年少女兵の思春期のゆらめきを重ね合わせ、幻想的な世界観で大胆に描いた本作は、サンダンス映画祭をはじめ世界中の映画祭で喝采を浴びた。

さらに、SCREEN DAILYが選ぶ2019年ベスト5では『パラサイト 半地下の家族』などの強豪を抑え1位を獲得、ギレルモ・デル・トロら名だたる映画監督や海外メディアからも絶賛の声が相次いだ。

 

出演するのは『キングス・オブ・サマー』の若手実力派モイセス・アリアス、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のジュリアンヌ・ニコルソン。

ほかに、高地での過酷な訓練を経て選ばれた演技未経験のコロンビアの若者たちと、実際のゲリラ組織「FARC」の元戦闘員も出演している。

 

標高4,300メートルの山頂と未開のジャングルで撮影された大自然の目を奪われる神々しさは圧巻。

加えて、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』でアカデミー賞にノミネートされた若き天才アーティスト、ミカ・レヴィのミニマルで特異なサウンドが、物語の寓話性と狂気性をより一層高めている。

映画の公開は、2021年10月30日

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あらすじ

時も、場所も、定かではない世界のどこか。

世間から隔絶された山岳地帯で暮らす8人の兵士たち。

ゲリラ組織の一員である彼らのコードネームは“モノス”(猿)。

「組織」の指示のもと、人質であるアメリカ人女性の監視と世話を担っている。

 

ある日、「組織」から預かった大切な乳牛を仲間の一人が誤って撃ち殺してしまったことから不穏な空気が漂い始める。

ほどなくして「敵」の襲撃を受けた彼らはジャングルの奥地へ身を隠すことに。

仲間の死、裏切り、人質の逃走…。極限の状況下、”モノス”の狂気が暴走しはじめる。

 

監督 / 脚本 / プロデューサー

アレハンドロ・ランデス

 

1980年、ブラジル生まれ。エクアドル人の父とコロンビア人の母をもつ。

米・ブラウン大学で政治経済学の学位を取得した後、ジャーナリズムの世界に入り、マイアミ・ヘラルド紙への寄稿や、政治トーク番組「Oppenheimer Presenta」のプロデュースなどを行う。

監督デビュー作である「コカレロ」は、ボリビアの労働者のリーダーであるエボ・モラレスが、草の根運動で同国初の先住民族の大統領になるまでを描いたドキュメンタリー。

サンダンス映画祭でプレミア上映され、20カ国以上で劇場公開された。

 

2010年には、サンダンス・インスティテュートのディレクターズ・ラボと、スクリーン・ライターズ・ラボのフェロー・シップ、およびカンヌ映画祭のシネフォンダシオンの対象者に選ばれ、初の長編フィクション作品「ポルフィリオ」を制作。

2011年のカンヌ国際映画祭監督週間でプレミア上映された後、多くの国際映画祭で最優秀賞を受賞した。

実話をもとにしたこの作品では、警察の流れ弾に当たって半身不随になった男性が飛行機をハイジャックするに至った理由を探るもので、実際のハイジャック犯であるポルフィリオ・ラミレスが本人役で出演している。

 

長編劇映画2作目となる『MONOS 猿と呼ばれし者たち』は、2019年のサンダンス映画祭でワールドプレミアとなり、その後、ベルリン国際映画祭パノラマ部門でインターナショナル・プレミアとなった。

映画制作に加えて建築にも情熱を傾けており、2015年には自身が設計したモダニズム邸宅「カーサ・バイーア」をマイアミに完成させた。現在はロサンゼルスに住む。

 

キャスト

ジュリアンヌ・ニコルソン

1971年、アメリカ・マサチューセッツ生まれ。主な映画出演作に、コーチ役を務めた『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』(17)、ジョニー・デップとジョエル・エドガートンが共演した『ブラック・スキャンダル』(15)、メリル・ストリープ演じる主人公の娘を演じた『8月の家族たち』(13)などがある。

ヒラリー・バーミンガム監督の「TULLY」(00)で主役を演じたのを皮切りに、インディペンデント映画にも積極的に出演している。

 

モイセス・アリアス

1994年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。両親はコロンビア人。

主な映画出演作に、リメイク版『ベン・ハー』(16)や、ハリソン・フォードと共演した『エンダーのゲーム』(13)、『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13)、『キングス・オブ・サマー』(13)など。

本作は、モイセスにとって初のスペイン語作品であり、これは彼がディズニーのTVシリーズ「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」でキャリアをスタートさせたときからの希望だった。

写真家としても活躍している。

 

映画の背景

かつてコロンビア南部でを拠点とした中南米最大のゲリラ「コロンビア革命軍」(FARCファルク) がモデルと思われる。

アレハンドロ・ランデス監督が「コロンビアの内戦という特殊な状況からインスピレーションを得た」と語っていることからもわかるように、映画に登場する少年少女たちのモデルは、コロンビアの複数のゲリラ組織の中でも最大だったFARCの戦闘員たちに違いない。

 

映画の中の少年少女はおそらく10代で徴兵されたと想像され、密林や高地に潜伏しながら、政府軍と戦ったり、人質の拘束を続けたりしている。

それは、FARCの戦闘員たちの実際の境遇や活動と実によく似ている。

 

FARCは、1959年のキューバ革命をきっかけに、社会主義に基づく国家建設を目指した地方農民らがつくったゲリラ組織だ。

結成は1964年。一部の金持ちが支配する社会秩序の変革を訴え、現状に不満を抱く農村部の若者らを勧誘して戦闘員を集めていた。

農民に土地の分配を約束して支持を広げながら、最盛期には約1万7千人の戦闘員を擁し、一時はコロンビアの国土の3分の1を支配したこともある。

一方で、資金獲得の目的で麻薬の密造と密売にも手を染め、要人や外国人を誘拐して巨額の身代金請求を繰り返した。

コロンビアではFARCの他にも複数の反政府ゲリラが現れ、政府軍や右派民兵組織と衝突する内戦状態が続いた。

 

犠牲者は26万人以上にのぼる。

500万人を超える人々が故郷を追われ、約8万人が今も行方不明のままだ。

歴代政権は最大のゲリラ組織であるFARCと何度も和平交渉を試みたが失敗し、国民の間には「戦争は永遠に終わらないのではないか」というあきらめさえ漂っていた。

そんななか、4年にわたる交渉の末、コロンビア政府とFARCが2016年9月に歴史的な和平合意を結ぶに至った。

FARCは合意内容に従って武装解除し、合法的な政党へと生まれ変わった。

 

ただ、内戦で生じた分断はそう簡単には埋まらなかった。

和平合意の署名式典からわずか6日後、やっと結ばれた和平合意が国民投票で否決されてしまったことが、溝の深さを何よりも物語っていた。

背景にあったのは「ゲリラを許すな」「ゲリラへの対応が甘すぎる」といった反対派の声だった。

最終的には、合意内容の一部を修正した新合意が議会で承認され、和平プロセスは何とかスタートしたものの、反対派の声は現在も和平の進展に影を落とし続けている。

映画「MONOS」はまさに、そんなコロンビアの歴史的局面につくられた作品である。

 

出典:田村 剛/朝日新聞記者。1976年、札幌市生まれ。

14年9月から18年3月までサンパウロ支局長として中南米特派員。

17年7月からはハバナ支局長も兼務。著書に『熱狂と幻滅 コロンビア和平の深層』(朝日新聞出版)。

 

予告編


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