『ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班』(シーズン1~5)の見どころ
2020/12/12
イギリスのBBCで2012年より放送され、シーズンが進むごとに人気・評価ともに高まっているサスペンスドラマ『ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班』が、シネフィルWOWOWにて一挙放送している。
警察組織内部の汚職特捜班が「職務(=ライン・オブ・デューティ)」を逸脱した汚職警官を告発するという、犯罪捜査ドラマだ。
見ごたえのあるドラマ
英国警察内での不正を捜査する汚職特捜班、通称AC-12がある。
彼らは、あらゆる手段で汚職警官を追い詰めていくのだ。
よく練られた脚本と迫真の演技でスリルと予想外の展開から目が離せない。
シーズンが進んでいくたびに人気が増し、シーズン4は放送局の最高視聴数を10年ぶりに塗り替え、昨年公開された最新のシーズン5も2019年英国内最高視聴数を獲得した。
英国では、人気ドラマとしての地位を確立しているのだ。
製作者は、2018年のサスペンスドラマ『ボディガード -守るべきもの-』も高い評価を受けたジェド・マーキュリオ。
キャストは、『SWEET SIXTEEN』のマーティン・コムストン、『リプレイスメント ~全てを奪う女~』のヴィッキー・マクルア、『クライング・ゲーム』のエイドリアン・ダンバーなど。
シーズンごとに加わる新たな顔ぶれも注目で、シーズン4では『ウエストワールド』のメーブ役で知られるタンディ・ニュートンが、シーズン5では『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』でアル・カポネを演じたスティーヴン・グレアムが参加している。
『ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班』シリーズの概要
<シーズン1(全5話)>
警察組織内部の腐敗と戦う汚職特捜班を描く、最上級の英国犯罪ドラマ。
『ウォーキング・デッド』のモーガン役でおなじみレニー・ジェームズが警部役で登場する。
最優秀警察官として何度も表彰される、功績も人望もあるベテラン警部が思わぬ事から不正に手を染めてしまう。
<シーズン2(全6話)>
何者かの待ち伏せにより証人誤送中の警察車両が銃撃されるという衝撃のシーンから幕を開ける。
『ボディガードー守るべきものー』の内務大臣ジュリアを演じたキーリー・ホーズが今回の調査対象者リンジー・デントン警部に扮し、彼女はシーズン2だけでなくその後も事件の鍵を握る人物として出演する。
<シーズン3(全6話)>
AC-12は、犯人を射殺した巡査部長と、そのチームによる証言の真偽を追う。
また、AC-12のコッタン警部補に疑惑が。
<シーズン4(全6話)>
連続殺人事件を捜査していたロズ・ハントリー警部は、若い女性の誘拐事件をきっかけにある男を逮捕するが、法医学調査官に疑問を呈される。
AC-12が潜入捜査に乗り出すも、ロズの抵抗に遭い、苦戦を強いられる。
<シーズン5(全6話)>
押収した麻薬の輸送車が襲われ、3人の警官が殺される。
内通者の存在を疑うAC-12は捜査を開始。
その中で、警察官の汚職に深く関わっていると思われる謎の人物「H」の存在が再び浮上。
輸送車襲撃事件と「H」の正体をAC-12は解明できるのか。
キャスト
スティーブ・アーノット / マーティン・コムストン
AC-12の巡査部長。
1984年5月8日生まれ。英・スコットランド出身。
プロのサッカー選手として活躍した後、主演映画「SWEET SIXTEEN」(2002年)で俳優デビュー。
「フィルス」(13年)や「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」(18年)など多数の映画に出演。
ケイト・フレミング / ヴィッキー・マクルア
アーネットの同僚刑事。
テッド・ヘイスティングス / エイドリアン・ダンバー
アーネットの上司で警視。
シーズン1 トニー・ゲイツ警部 / レニー・ジェームズ
シーズン2 リンジー・デントン警部補 / キーリー・ホーズ
シーズン3 ダニエル・ワルドロン巡査部長 / ダニエル・メイズ
シーズン4 ロズ・ハントリー警部 / タンディ・ニュートン
シーズン5 スティーヴン・グレアム
ドラマの見どころ
若手刑事スティーブ・アーノットは誤射事件の隠蔽指示を拒否したため所属のテロ対策班を追われ、汚職特捜班に異動となる。
通称AC―12と呼ばれるその班は、英国警察内部で不正に手を染める警察官を取り締まる部署。
アーノットと同僚のケイト・フレミング、さらに、上司のテッド・ヘイスティングスの3人がこのドラマの中心人物となる。
彼らは、あらゆる手段を講じて汚職警官を追い詰めていくのだが、組織内部の不正の告発はすんなりとはいかない。
協力が得にくいというだけでなく反感をかったり逆恨みもある。
誰が敵で誰が味方なのかわからないという先の見えないスリリングな展開が続く。
このドラマで注目するのは、質の高いドラマ作りで知られる英BBCが製作しているということと、脚本を担当しているジェド・マーキュリオだ。
マーキュリオは過去にもイギリスの国民健康保険制度のあり方に一石を投じる医療ドラマを製作している。
2018年の『ボディガードー守るべきものー』では政治家の陰謀を暴くなど、権力の腐敗に対する鋭い嗅覚を発揮する社会派プロデューサーなのだ。
調査対象者として出演する俳優陣の存在感や演技には、素晴らしいものがあり、どんでん返しの嵐でシーズンを追うごとに面白さが倍増している。
本作にはハリウッドドラマによく見られる銃撃戦や派手なアクションなどの見せ場はあまりないが、地道な調査や駆け引き合戦が生み出す中毒性も魅力。
「最上級の犯罪ドラマ」といっても過言ではない。
マーティン・コムストン コメント
警察内部の不正を捜査する「ライン・オブ・デューティ 汚職特捜班」シーズン5。
主人公のスティーヴ・アーノット巡査部長を演じる俳優、マーティン・コムストンが、番組が成功を収めた秘密やシーズン5の見どころを語る。
善悪で割りきれないところが、演じていて面白い
これまでイギリス国内で数々のテレビ賞に輝き、視聴率も絶好調の番組ですが、その理由はなぜだと思いますか?
「まずは脚本だね。最初にオーディションを受けた際、今まで読んだ中で最高の脚本だと思った。しかも、シーズンを重ねても全く質が落ちたりしない。番組のスケールはどんどん大きくなり、犯罪の筋書きもより複雑で巧妙になる一方、捜査に取り組む警察の描写には一貫したリアリズムがある。それが高視聴率を稼いでいる理由だと思う」
アーノット巡査部長というキャラクターの魅力とは?
「非常に演じがいのある役柄だし、それは脚本を書いているジェド・マーキュリオの才能の賜物だと思う。スティーヴ・アーノットはヒーローだけれども、必ずしも好人物とはいえない。むしろ、時として彼に追われる悪人の方に同情してしまうこともある。真実を追求するためには手段を選ばない男なんだ。たとえ相手が警察の上司であろうと、犯罪を暴くためなら構うことなく追い詰めていく。その過程で、彼自身が過ちを犯してしまうこともある。その善悪で割りきれないところが、演じていて面白い」
シーズン5でのアーノット巡査部長はどうなりますか?
「彼は前シーズンのラストで、階段から突き落とされて大けがをしたけど、今シーズンの始まりではすっかり回復したように見える。しかし、エピソードが進むにつれて体調の異変が目立ち始め、それが彼の精神状態にもだんだんと影響を及ぼすんだ。この番組では、シーズンを重ねるごとに登場人物の背景を深く掘り下げていき、それがファンをひきつける魅力の一つになっているけれど、今回はスティーヴの孤独な一面が浮き彫りになると思う」
撮影で特に大変だったことはありますか?
「恐らくネタバレにならないとは思うけれど、先ほど話したように今シーズンのスティーヴは肉体的な問題を抱えていて、それは演じる僕にとってちょっとした驚きだった。それがどれだけ深刻で、彼の精神状態に大きな影響を及ぼしていることがハッキリとするシーンがあるのだけれど、これは演じていて思わず感極まってしまったよ」
今シーズンで最も気に入っているシーンは?
「これまでもレニー・ジェームズやタンディー・ニュートンなど、番組では素晴らしいゲスト出演者を迎えてきた。それもまた、シリーズが大成功している大きな要因の一つだ。しかし、今回のゲストは個人的に最も興奮した。なぜなら、僕の古い友人でもあるスティーブン・グレアムがライバル役を演じているんだ。さらに、ヴィッキー・マクルアの演じる同僚・ケイトが上司に昇格して、スティーヴが主に“汚れ仕事”を引き受けることになる。この要素も面白くて気に入っている。しかし、何よりスティーブンとの共演シーンは白熱したよ。うまい俳優と演技を戦わせるのは役者みょうりに尽きるけれど、同時にすごく緊張するものだね!」