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洋画

『ノック・ノック』は、日常の恐怖を表した映画だ !

2016/06/17

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解説

『マトリックス』のキアヌ・リーヴス主演によるサスペンススリラー。

家族の留守中に2人の美女を家に入れたことで、破滅への道を突き進んでいく

男の姿を追う。

 

監督は『ホステル』シリーズや『グリーン・インフェルノ』などの鬼才、

イーライ・ロス。

『アフターショック』などのロレンツァ・イッツォ、『サイレント・ウェイ』

などのアナ・デ・アルマスが主人公を惑わす美女コンビ役で共演する。

 

あやしさとただならぬ緊張感が渦巻く展開や、モラルと欲望の間で苦悩する

男の胸中を表現するキアヌの妙演にも注目。

1977年のカルト映画『メイク・アップ』のリメイク作品でもある。

2016年6月11日公開

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キャスト

キアヌ・リーヴス

ロレンツァ・イッツォ

アナ・デ・アルマス

アーロン・バーンズ

イグナシア・アラマンド

コリーン・キャンプ

監督・脚本 イーライ・ロス

 

ストーリー

キアヌ・リーブス演じる主人公は妻や子供たちと幸せに暮らす社会的にも

成功した男。

ある嵐の夜、「ファーザーズ・デイ(父の日)」の休日に家族が泊りがけで

外出するも怪我のために家で留守番することなった男のもとに、

ずぶ濡れになった美女二人が訪れる。

パーティ会場を探すも道に迷ってしまったというのだ。

 

愛想もよかったふたりを家に招き入れ、濡れた服が乾く間、雨宿りすることを

認める。

しかし男は家族と離れたという気の緩みもあって、そのふたりの美女と関係を

持ってしまう。

 

そして翌日、眼が覚めると女たちは変貌していた。

聞き分けのよかった昨晩とは違い、粗野で下品でわがままし放題の彼女たちを

持て余した男は警察に通報しようとするも、彼女たちは自分は未成年だといって

逆に脅しをかけてくる。

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ふたりの未成年と関係を持ったと分かれば全てを失うと察した男は、

徐々に女たちにあやつられていき、やがて恐怖へと向かっていく。

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物語のほとんどが家のなかで進行するため、映画としてはかなりコンパクトな

印象なのだ。

しかし、本作にはイーライ・ロスの嫌らしさがしっかりと詰まっている。

 

イーライ・ロスの描く恐怖空間とは、一見すると現実と繋がっているように

見えても、実はそれはただの勘違いであって、本当は完全に断絶した場所を

舞台にしているのだ。

イーライ・ロスの手にかかれば、自宅でさえも、ある瞬間から恐怖空間に

様変わりするのだ。

 

被害者は大抵の場合、いわゆる世間知らずのぼっちゃんなのだ。

世間の負の側面を見ることなく育った彼らは、世間に対して性善説を信じて、

「話せばわかる」という前提にたって生活をしている。

 

そんな善人が、被害者になることはない、という確信をイーライ・ロスは

跡形もなく粉砕するのだ。

平和な世界なんて簡単に壊れてしまうということを描いている。

 

『グリーン・インフェルノ』で血祭りに上げられる意識の高い学生たちは

まさにその典型なのだ。

彼らは自分たちが信じて疑わない世界こそが実体だと思っているが、

本当にそうなのか? 世の中には善人しかいないか?

意味も理解もなく人を殺すことをいとわない人々は本当にいないのか?

 

こういった意地悪な疑問がイーライ・ロスの作品の根底には常に流れている。

善き人間が良き人生を歩めるなんて嘘っぱちだ。

そんなもんは大人たちが都合よく世界を管理するためのスローガンで、

善き人間こそが被害者となってしまうということがこの世界の本質である

ことが描かれている。

 

男は、なぜ自分が見ず知らずの美女ふたりにいたぶられなければならないのか、

最後まで理解できない。

自分は彼女たちに親切にしただけで、無理強いなどは何ひとつしていない。

それなのになぜこんな目に合わなければならないのか。

 

本作には暴走する美女たちの理由は語られない。

一見すると理由なき凶行にも思える。

しかし繰り返し強調される男の一家の贅沢でハイセンスな暮らしぶりは、

嫌悪感を想起させるのも事実なのだ。

 

何不自由ない家庭を崩壊させてやりたい。

こういった破壊欲求は分かりやすい衝動として確実に存在するし、

「そんなの感じたことありません」と断言できてしまう人間こそ

イーライ・ロスが血祭りにあげたいと願う偽善者なのだろう。

 

そういった意味において本作は、マイケル・ダグラス主演の『危険な情事』を

思わせるような内容となっている。

美女たちが男をいたぶる理由はきっとどこかにある。

ただそれを理解できないだけなのだ。

 

その気になれば簡単に逃げ出せそうなものだが、

それでもバスタブで「ハッピー・ファザーズデイ!」と可愛がられる男の

骨抜き具合は、彼の本望だったとも思えなくはないし、大方の男の願望でも

あるから何とも意地の悪い映画なのだ。

 

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