ドラマ、映画の気になる話題(30才以上限定)

ドラマ、映画関連の最新トレンド情報を見つける!!

ドラマ

『偽装の夫婦』に観る脚本家「遊川和彦」

yjimage

遊川和彦は80年代後半にデビューして以降、『オヨビでない奴!』や

『予備校ブギ』といったコメディタッチの明るいドラマを得意としていた。

 

大きな転機となったのは2005年に発表した『女王の教室』。

yjimageAKX83UB1

本作で遊川は、脚本家としてのスタイルを大きく変えている。

『女王の教室』は、小学校の女教師・阿久津真矢(天海祐希)と

生徒たちの戦いを描いた物語だ。

 

虐待すれすれの教育と“この世は弱肉強食だから負け組になりたくなければ、

勉強しろ”という身も蓋もないメッセ―ジを小学生に訴える。

 

天海が演じた阿久津真矢のような、心を閉ざして機械的な口調で喋る

寡黙な女性ヒロインは『女王の教室』以降の遊川ドラマでは定番となる。

ミステリアスな外見や予測不能の行動が大きな話題となる。

 

つまり、強烈なエピソードとキャラクターを、最初にぶつけることで、

強い印象を与え、視聴者を最終話までひっぱるという、

炎上商法のような作品へと変化したのだ。

 

いつまでも、この手法が続くとやがて視聴者から離れていく不安もあった。

しかし、『偽装の夫婦』では、さらに変化しているのだ。

 

別れた彼氏が実はゲイで、なりゆきから偽装結婚をするという物語や、

主人公を好きになるレズビアンのシングルマザーが登場する、

といった性的マイノリティをコメディ風に見せるというやり方。

 

相変わらずセンセーショナルな作品だが、意外にすっきりと

受け入れられるのはなぜだろうか。

 

同性愛については、すでに当たり前のこととして描かれている。

そして明るくコミカルな雰囲気が普通に受け入れられる。

悲痛な感じが出てこないところに、このドラマの良さがある。

それをもっとも象徴しているのは、沢村一樹が演じる超治だ。

軽薄だが実は思いやりのある男性というキャラクターだ。

 

彼の演技で、すべての問題が普通に観ることができる。

遊川は、炎上的な手法を用いた結果、ネットを中心とした炎上現象を

見ていて、炎上による物語の限界を感じたのではないだろうか。

 

『女王の教室』は、序盤こそ虐待スレスレの教育場面が物議を醸しだしたが、

物語が後半になるにつれ、謎の女教師の正体が明らかになり、実は、

子ども達に強くなってほしいという思いから、あえて厳しい教育を

することで子どもたちの壁として立ちはだかっていたことが判明する。

だからこそ、最初は激しい抗議があったとしても最終的には

多くの視聴者を感動させることに成功したのだ。

 

しかし、これは連続ドラマとしての『女王の教室』に視聴者が

最終話まで付き合ってくれたからこそ成立したことだ。

一話で見るのを辞めた人にとっては、本作は女教師が小学生を

虐待するドラマでしかない。

yjimage2

『偽装の夫婦』では、同性愛もシングルマザーもごく当たり前の

ことだということをコミカルに抵抗なく受け入れられるように

表現して、視聴者に理解させるようにしていると思える。

 

そして、さまざまな偽装がカミングアウトされるが、そういうものも

すでに誰にでも起きることではないだろうか。

ヒロの心の声は、誰でも言いそうなことを表現している。

あなたでも、そういう風に思って当然なのです。

 

しかし、表面では決して言わない。

それも偽装なのだろうか。

誰にでも起こりうることをきちんとドラマとして表現している

ように思えてならない。

 

ドラマの手法としては、かなりのインパクトもあり、

まじめな表現では、おもしろくない悲壮なドラマになりそう

なのだが、そこは、遊川和彦の見せどころとなる。

 

何となくどう展開するのかがわからないドラマだが、

実におもしろいと言える。

最後が楽しみでもある。

 

-ドラマ